シカゴからロサンゼルスまで

ヨッ、調子どう?

そこにドラマがあるから My First Story

 

 f:id:kashiwasita:20171009114231j:image

 

 

ドラマのある音楽が好きだ。

 

ありふれたフレーズをテンポの良いリズムに乗せただけの音楽じゃなく1人の人間が赤裸々に歌う、ドラマのある音楽が好きだ。

 

My First StoryのHiroは昨年の11月に行った武道館ライブでこう言った。

 

「俺の人生を全て賭けるから、超えなきゃいけないやつが1人だけいる。もう誰か分かってるよな。人生で最初で最期の敵、5年前必ず超えると誓った、実の兄ーーONE OK ROCKだ!」

 

これは単なる謳い文句ではない。壮絶なドラマを背負った、1人の男の生き様である。

 

 

 

 

 

 

複雑な家庭環境、兄への憧れ

 

f:id:kashiwasita:20171010172028j:image

 

 

時は遡り、森進一と森昌子の子供として生まれた3男のHiro。長男のTakaは現在ONE OK ROCKのボーカルとして世界で活躍している。家庭は厳しく、兄に対しては常に敬語。とても尊敬していた。

 

しかし両親はHiroが幼い頃に離婚してしまい、兄弟はバラバラに。6年前の2012年11月28日、ONE OK ROCKが初めて武道館公演を行った。Hiroはそこで衝撃を受け、バンドをやることを志す。

 

しかし現実は甘くなかった。彼が率いるMy First Storyの1stアルバムがリリースされると、その天性の才能に嫉妬した輩が叩き始めた。

 

「ワンオクのパクリ」「Takaの二番煎じ」「親の七光り」そんなレッテルを貼られた彼らはその後、5年間苦しむことになる。

 

たしかに、曲調も声も似ていた。俺も4年前、まだyoutubeに「Second Limit」の曲がアップされた頃、彼らを知った。そこには無意識にワンオクと比較している自分がいた。

 

 

youtu.be

 

そりゃあ兄弟なんだから仕方ない。好きな音楽だって同じだろうし、自ずとやりたい事は被る。でもそんなことはリスナーには関係なかった。

 

 

苦しみの5年間

 

時期も悪かった。

 

当時はワンオクが「残響リファレンス」で人気を確実なものにしてきた時期。マイファスは才能があるにも関わらず、その道をことごとく潰された。当時のことをHiroはこう語る。

 

「もっと自分たちのやりたいようにやりたかっただけなのに。ただ音楽が好きなだけだったのに。それでも“兄を尊敬して追いかけてる”、“親に頼って生きてる”、そんなレッテルを貼られて、何一つ言い返すこともできず、ただ笑ってやり過ごす毎日の連続でした。」

 

ようやく最近人気が出てきたが、今思えば遅すぎる気がする。とっくに他のバンドより抜きん出ていたはずなのに、世間から認められるまで時間がかかりすぎた。それは、兄の背中が大きすぎるからだった。

 

でもそれはTakaも同じ。親の七光りとレッテルを貼られ、ワンオクを結成するまではステージでもずっと下を向いて歌っていた。しかしそこから自力で這い上がった彼だからこそ、弟を簡単に歓迎できないのだろう。

 

Hiroは兄と、世間のレッテルをずっと超えたかった。

 

 

 

2つの、家族

 

ワンオクには「Nobody's Home」という曲がある。これはTakaが家族についての思いを歌った曲だ。

 

youtu.be

 

How are you doing?そんなふうに言えるのにも時間がかかったね…
いつだってここだけは温もりややさしさが僕を包んでくれてた場所で…
けど僕は何度も裏切ってきたね…I just say心からI'm sorry今やっと気づいたよ

Nobody's home yeahNobody's home yeah何もかもを捨てて飛び出したあの日思い出せば僕の背中をあの時も強く押してくれてたんだね

 

マイファスにも「Home」という曲がある。

 

 

youtu.be

 

小さかった日々の思い出はなくて僕一人だけが余り続けてた

生まれ変わったら幸せになれると試してみたのに楽になれず…
何が起きたかも分からないまま離れ離れになる時間が来ても僕は何も出来ずに泣いていた

ただ何度でも ただ何度でもこの夢が叶うまでは迷わずに進んで行くと決めたからあの人に あの人達にこの声が届くまでは抱えずに呼び続けるの

 

同じ「家族」を歌った曲なのに、どうしてこんなに対照的なのか。

 

武道館で、Hiroは涙を流しながらこう言った。

 

「僕はずっと1人でした。家族とはなんでしょうか?愛とはなんでしょうか。僕にはよくわかりません。この歌を歌うのは、最初で最後にします」

 

歌い終わると、彼はその場に泣き崩れた。

 

「お父さん、お母さん聞こえてますか、僕の声。いつか必ず5人で集まれる日を心から願ってる」

 

ようやく6年前の兄と同じ武道館のステージに立つことができた。Hiroにとって、Takaそして家族とはなんなのか。今まで一切語られなかった言葉が、武道館で赤裸々に語られた。

 

それまではマイファスを応援しつつ、そこまでハマっていなかった俺も今は本気で頑張って欲しいと思っている。だってそこには、ドラマがあるのだから。