シカゴからロサンゼルスまで

ヨッ、調子どう?

さとり世代の若者にThe Songbardsを

 

世界で最も有名なバンドといえばThe Beatlesであろう。

 

彼らは4人全員がイギリス北西部リヴァプール出身の労働者階級だった。ジョン・レノンとポール・マッカートニーの運命的な出会いから始まり、1962年のデビューから1970年に解散するまで数々の伝説を生み出してきた。

 

特に彼らのマッシュルームヘアや長髪のような髪型は50年代からあったロックの不良っぽさというイメージにお洒落なモダンさを取り入れた。音楽はもとより、そうした面でも彼らが後世に与えた影響というのは計り知れない。

 

今回紹介するのは、そんなビートルズが現代の日本に現れたかのような、バンドである。

 

 

The Songbards

 

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The Songbardsは2017年に神戸で結成された4人組バンドだ。

 

メンバー全員が1994年生まれで、松原有志(Vo.&Gt.)と上野皓平(Vo.&Gt.)の2人を中心に(前身はAnt Lily)スタートした。2018年1月には初の全国流通盤『Cage in the Room』をリリース。まさに邦楽シーンに現れた新芽である。

 

The Songbardsの音楽はビートルズやオアシス、アンディモリといったバンドの系譜を受け継いだロックンロールであり、メンバー4人それぞれが作詞作曲に携わり全員が歌で楽曲に参加するスタイルが特徴的だ。

 

これは彼らのルーツであるビートルズが「メンバー全員が個性を持っている」というイメージであるため、フロントマンという個人戦ではなくバンドという集団戦で戦っていく姿勢を示している。

 

 



美しいメロディと軽やかなリズム。そして社会を達観した表情で眺めているような耳触りのいい歌詞群。

 

〈リシケーシュ〉というビートルズが訪れたことでも有名なインドの聖地をなぞらえて〈何もかも手放してしまうんだ 憧れては絶望を繰り返すこの心〉と爽やかな楽曲に対して歌詞には若者らしいフレッシュ感が一切ない。

 

正直、他の新人バンドから明らかに突出していることは一目瞭然だ。チーズバーガーを頼もうとしたらいきなりビッグマックが出てきたような衝撃である。

 

彼らのスタイルはビートルズ的であり、音楽はアンディモリ的である。だが決して二番煎じのようなものではない。この現代社会において24という年齢で、これまで先人たちが鳴らしてきたロックンロールを更新したのである。

 

 

 

いつの時代でも変わらないもの

 

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私たちが生きる現代は、欲望が飽和してしまった時代といえる。

 

お金があれば大抵のモノは手に入るし、生きていく上で余計な手間が省けるようになった。だがそれは同時に「満たされない」という気持ちを増幅させていくばかりだ。

 

そんな社会に疲弊した大人と、幸せであるはずなのに満たされない子ども。他人に認められたり、攻撃しないと自分を保てない。酒を煽って慰めたり、目先の楽しみを追って日々を過ごしている。

 

しかしThe Songbardsの音楽は、そこから救済してくれるかのような優しさを持っている。

 

経験の中に溺れていった 高度の溝に落ちたアリのように

どうしようもないと嘆いたのは 言葉では何もわからないとわかったから

(Philadelphia/『Cage in the Room』)

 

 

まず、こんな歌詞が24歳の若者に書けるということに驚く。

 

というのも、上野皓平は学問として仏教を、ブッダの思想に共感しており、繰り返しの日々と終わりのない生活に嫌気がさした彼は一時期は出家まで考えていたという。

 

今って100年前とか200年前の大金持ちよりもいい暮らしをしてるんだけど、みんなが不満を持ってる。つまり、どう時代が変わっても、不満を持ってしまうのは人間の性で、その不満って結局自分自身の心の問題なんですよね。そう考えると、欲が出て満たされての繰り返しっていうのに、答えはあるのかな? と思って。

94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉 - インタビュー : CINRA.NET

 

 

しかしメンバーの説得の甲斐があり、彼らは音楽を通して同じような気持ちを感じている人たちに、社会に還元してくことを選んだ。

 

それは労働者階級に生まれたビートルズとは違うし、混沌とした時代のうねりの中から生まれたアンディモリとも違う。

 

彼らは豊かであるはずの社会の中からそれでも満たされない誰かを救うために立ち上がったバンドである。

 

 

 

この時代を生きる若者へ

 

The Songbardsのバンド名がbirdsじゃなくてbardsなのは既に他のバンドがいたということだが、bardは「吟遊詩人」という意味を持っているらしい。

 

生活の邪魔をしない、飾り付けのような音楽であり、辛いときや苦しいときには近くに寄り添う音楽でもありたいなって。だから皓平から「The Songbards」という案を聞いたとき、それなら両方の意味が入っていて、バンドを表しているからいいなと思いました。

94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉 - インタビュー : CINRA.NET

 

 

音楽は魔法ではない。音楽が直接何かを変えることはできないし、人間が生きていく上では別になくてもいいものだ。

 

でも、音楽があることで日々の生活に彩りを与えることができる。嬉しいときや悲しいときに、幸せな気持ちを増幅させてくれたり、逆に励ましてくれたりすることもある。

 

現代は物欲や出世欲、性欲などのない若者が多く、世の中に対してどこか冷めた視線であったり、若いうちから老後の過ごし方まで見据えている彼らは「さとり世代」と呼ばれている。

 

そんな若者世代代表・The Songbardsの音楽はその潮流の中で生まれ、言葉を綴り、私たちに「それでもいいんだよ」と寄り添ってくれる。

 

社会に対して疲労感や疑念を抱いているさとり世代の若者に、ぜひ彼らの音楽を聴いてほしい。

 

 

 

おまけ

 

個人的にはこのバンド、売れると思います。

 

以下、ボーカル2人の顔写真になります。

 

 

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結局、顔。